滝に打たれて in Summer

ご縁があって、昨年に続き今年も滝行に行ってきた。東京の高尾山で。

高尾山琵琶瀧水行道場

昨年は初めてだったので、数日前からそわそわ・・・首のムチ打ち症になったらどうしようということから始まり、冷たい水に入ることすら恐怖だった。それが、3分ほどの滝行をしてみるとなんという爽快感!!山道を下るときもその空も森もなんだかぱぁっと開けて明るく感じたものだった。まさにサイコー。

えいっと思い切って新しいことにチャレンジした後の達成感、身も心も引き締まる爽快感、これを経験したから今年も声をかけてもらったときは即「参加しますっ」と快諾した。

今年も白装束を着て、山伏さんから御不動様の話を聞き、御堂でお経を挙げてもらい、なんとも神秘的でスパイシーな塗香を頭から首すじにかけてさぁ、いざ滝へ。

南無大聖不動明(なむだいしょうふどうみょう)と7回唱えてから、一人ずつ滝の下に座り、山伏さんがお経を挙げている間ひたすら無になって修行。今年は昨年より長く感じたけれど・・・5分ほどやってもらったのかな・・・

わたしは、前の方たちが「気持ちいい!」となんなく終えているなか、滝の水がだんだん冷たく感じて、震えてきてどうにか精神統一し、乗り切った・・・

大体の人は、自ら滝に打たれたくて来ているので「最高だった!」というが、30人にひとりくらいの割合で、頭が割れるように痛くなってもう辛い、という人がいると聞き、自分もその30人にひとりになったらどうしよう・・・という不安も直前まで感じながら、いかに自分がこわがりなのか、ということを実感したのでもあった。

滝修行、夏だからできるけれど、それ以外の季節は私は勘弁だな、と思っていたところ、一緒に参加した明朗快活そうな男性は、「冬の滝行もやってみたい」と言い出した。すごいメンタルの強さだ。滝行後に皆で一緒にそばをすすりながら、わたしは彼に聞いた。「どうしてそんなにメンタルが強いんですか?冬に滝行をやりたいってどういうことですかね!!」

男性は「限界を超えていくんですよ」と健康的なきれいな歯を見せて爽快に答えた。

世の中には、こういう前向きパワー全開で自身に満ち溢れた人というのがいるんだなぁ、と惚れ惚れ感心してしまった。

わたしは、昨年初めて滝行を経験し、人生が切り開けたと思ったけれど、一年の間にまたしても煩悩の塊のような人間に戻り、滝に打たれて浄化されたと感じた今年もまた、すでに1週間経ったら、スペシャリストとして何かひとつの才能を究めていくような他人(ひと)達が世の中にはたくさんいて、そういう他人と自分を比べて「私はなんとも中途半端な人間だ、わたしにはこれと言う強みもない」なんて羨ましく思っている。

せっかく滝に打たれてきたんだから、しゃきっと前向きに突き進もうぜ、と自分に言い聞かせることにした。

下山中、道脇の古びたベンチに苔が生し植物たちの住処になっていた