昨年2024年は何も成し遂げられないまま、一年が飛んでいくように過ぎてしまった・・・なんて思っていたが、そういえば着物の着付け教室に通ってみたことは、色んな学びと気づきがあった。
着付け教室は、某大手着付け教室の無料講座。つまり、”見る目を養う講座”などという名目で着物の販売会もお稽古内に含まれていて、気づけばのせられるままに新しく買ってしまって数万円飛んでいってた、なんていうよくある話のところへ。なので、キリの良いタイミングを見つけ、わたしはさっとそちらを辞めて、次は実家の母のところへちょくちょく行き、タンスに眠っていた母と祖母の着物をあれこれ引張り出し、母に教えてもらったりした。
着物の着付けって、やってみれば自分でもできるようになるものではある。けれど、やっぱり道のりがけっこう長い!覚えることやコツを掴まないといけないことがたくさんで、ある意味わたしは昨年着付け習っていた間の春の数か月は、もう着物の着付けのみならず、この女性たちを悩ませる悪しき着物文化め!と思うほどに翻弄された・・・
着付けができる母から教わろうにも、母も色んなことがめんどくさくなった年頃で、着物の着付けの教え方がわからないし、”面倒”だから自分でテキスト見てやんなさいなんて言って、分厚い着付けの本を渡してきてわたしは一人で悪戦苦闘。しかも、母はたくさんの着物を隠しこんでいた。そんな着物をタンスからあれこれ出して部屋中に着物だらけになりそれを片付けるだけで二人でへとへとになったりも。
結局、着物を着て出かけようとしたら、自宅で着るのが一番効率が良いので、実家から自分で着てみたいという着物をせっせと持ち帰り、姿見の横にタブレットを置いて、”着つけ講師すなお先生”の着付け動画を何回も見ながらと、YouTube様様でした。
なんとか42歳の間に、自分で2回着物を着て出かける、ということを達成したけれど、写真を撮ってみてみると、着付け教室で新しく4万円で買った正絹の長襦袢は腕の長い私のサイズだけど、着物は祖母や母のサイズなので、身幅は大きいのに袖が短く、襦袢がはみ出して見えているわ、なんか上前が着崩れていて明らかにおかしい、帯も太鼓の結び方でなんとか見繕ったもののきれいに柄が出ないとか、あちゃー。じっくり見られたらお恥ずかしいけれど、着物のことをあまり知らない人に見られる分には大丈夫、というレベルの着方ならできた。
なぜ、私が昨年着物を着れるようになろうと思ったか。何歳になっても着物を着れるようになったら素敵よ、なんて世間は言うけれど、正直なところ、中年のくたびれたおばちゃんになってから慣れない着物を着るのは考えただけで疲れるし、正直まだ若いと言ってもらえるうちに着物を着たほうが絶対に着物が美しく見える。そして、わたしは、背筋がシャキッとしているうちに美しく着物を着こなせるようになって、着物を着て美術館に出かけたり、ホテルのラウンジでティータイムを楽しんだり、クラシックコンサートに出かけたりと文化的ライフを謳歌したいと思ったから。
特に、着付け教室で大島紬は見た目は地味だけど、べらぼうに高級で貴重な作りの着物であることを知ってから、この着物を着こなすには、若いうちのほうが良い!と思ったのだ。初めは、明るくてきれいな色の着物を着たい、あんな地味なのを着るなんてなんか残念ってくらいにしか思っていなかったのだが。この大島を早い段階から何回も着ないと、おばあちゃんが清水寺から飛び降りるくらいの気持ちで買ったといううちにある高価な二つの大島がもったいない!メイクや髪型もあか抜けさせて、着こなしてみせるよ!という気合が入った。
つまり、時間とお金と若さをムダにしたくないという根性。日本人として多くの女性に「昔、母が残してくれた着物を着ないと申し訳ない」なんていう呪縛すら感じさせる辛気臭い着物文化ではなく、細かいルールを軽くして気分も心地よく、オシャレな新しいファッションとしてのサステイナブルな着物文化を自分の中に取り入れたいのだ。
そのためには着る機会を増やし、場数を踏んで習得していくのが一番良いだろう。
今年もめげずに再挑戦。着物2年生ということで、昨年よりはうまくいくでしょう。