テニスはお日様の下でなくっちゃ。

テニススクールに通い始めて半年が経った。もともとテニスは好きだったから、子どもがまだ幼稚園生だった7年前にも同じスクールに通っていたのだが、その後仕事が決まり時間がとれなくなり、テニスはしばらくやめてしまって・・・

あれから月日は経ち、時間ができた。というか時間は作るものだということがわかってきた。そして、昨年から”自分が好きで一筋に続けられるものを大事にしていくような人生を送りたい”と思い、やっぱりわたしにはテニスがいいという率直な気持ちが芽生えた。今回は10年間続けようと決意。また同じテニススクールに戻ってきた。

ただ、この7年の間に、夏の暑さはよりひどくなってまたゲリラ豪雨もしばしば。テニスを続けるにしても、夏は辛そう・・・。続けられるか不安はありつつも、今のところ11月から通い始め、毎回とても楽しいしなんだかカラダの調子も良い。

昔から続けている常連のスクール生たちは、生活に余裕のあるだろうシニアのマダムが多い。彼女たちを見ていると、自分もあんな風に年齢を重ねていつまでもテニスができるような身分でいたいな、という憧れる。そして、そうなれるためにはどうしたらいいのかと、彼女たちの暮らしぶりを勝手に想像する。

きっと、やはり経済的余裕と心の余裕は相対しているんだろうな、とも思うのだが、そういう方たちと月に2回だけでもコートで一緒に過ごすと見習いたいな、と自分の所作や考え方、焦らない、ありのままの穏やかな心持ちを意識することができてとてもためになる。

ただ、夏が近づくにつれて私の心は、揺れ動いてきた。暑い中、運動なんかしたくない。できることなら、インドアの冷暖房完備で天気に左右されず、日焼の心配のないスクールに移ったほうがよいのではないか、と。ちょうど、自宅のすぐ近所にインドアテニススクールが7月に開校するというチラシも入ってきて、さらにわたしを惑わせる。

今のスクールは、雰囲気が良く、月2回6000円というお手軽さ、担当してくれている若い男性コーチの教え方もとても素晴らしくて、正直ちょっとときめくし・・・ここを辞めて毎週月4回のインドアテニススクールに移るというのは、どうなのだろうか。月謝も倍以上にはなるし、毎週曜日が決まっているというのもあっという間に1週間経つので、なかなか今のわたしにはプレッシャーかもしれない。

しかしながら、冷暖房完備、日焼の心配もない、天候に左右されないのは魅力的。

そんなことを頭の片隅で思いながら、テニスに行ったある日のこと。Iさんというとってもチャーミングなセレブ風マダムがいらしていた。彼女は、見た目は60後半から70代に見えるのだが、ポロ・ラルフローレンの上質な生地のTシャツとハーフパンツを着て、足首にはアンクレットをさりげなくつけて、キャップもラルフローレン。ショッキングピンクの口紅をつけて、イケてるサングラスをかけて、小麦色に焼けた肌から、ニコッと白い歯を見せて楽しそうにテニスをたしなむような方。
なんなら、40前半の私より垢ぬけている。
話し方も、「あら、やだわ。上手に打てない」なんて言いながら、ちゃんと打っているんですが・・・(笑)

ファッションモデルのスカウトでもされそうな素敵すぎるIさんにはいつも内心、目がいってしまう。わたしはどうしたら彼女みたいになれるだろうか、話しかけるのもなかなか勇気なくて、憧れの気持ちで見ているだけだったが、この間初めて、彼女に話しかけることができた!たわいもないお話をさせていただいて、天気の話なんかの流れで、わたしは「近所にインドアのテニススクールができるって聞いて、じつは今迷っているんです。冷暖房完備だから、いいなぁって」

すると、彼女は口角を上げたままで「インドアね・・・どうなのかしらね。
うーん、でもテニスは、お日様の下でなくっちゃ」
っておっしゃった。

きゃん(ハート)
ときめいた・・・!

彼女は、全身日焼しないようにマスクやアームカバーで皮膚を隠すこともしないし、日焼もしているけれど、とっても爽やか。

お日様の下で、体を動かす方が、気持ちがいいって。

そういわれるとそうよね、何を色々恐れているんだろうか、わたしは・・・

いい言葉だな、

「お日様の下でなくっちゃ」

こんな風にチャーミングに言えるように歳を重ねた女性になりたい。