4月から新しい就職先が見つかり、仕事に打ち込み収入も確保できるはずだったのに、ぽしゃってしまった。
”契約は白紙に戻させていただきたい”という先方からの文面が、地味にコタえたわ・・・苦笑
ざっくり言うと、知人のBさんが3月末でそちらの会社を退社することになり、後任をやらないか、と言われ、ぜひ!と意気揚々と面談に行き社長と社長の右腕らしき女性パートナーと話が弾み、お互いその気に。雇用条件などきっちり詰める前に、時間もないので引継ぎ業務のため出社してほしい、ということで3月から、出勤したところあれ?なんかモヤモヤする、ということが次から次へと出てきて・・・
ちょうど自分の価値について、考えていた時期だったのもあった。オンナであり、ブランクあり、フリーランス起業もしているけれど、フリーランスだからこそ、声をかけてもらえたら先方からの言い値で仕事しても良い、ご縁なのだから。そんな風にやってきた自分がいた。でも『82年生まれ、キム・ジヨン』を再読したのと、昨年12月にテレビで放送された「世にも奇妙な物語’24 冬の特別扁」でフリーであることと仕事の対価についてがテーマの話を見て、「私の価値はタダじゃない!」と叫ぶおじさんがあまりに恐く、説得力があった・・・だから、自分を安く売るのはやめよう、ということをなんとなく心のどこかで思っていたのだろう。
主体性を持って責任のある仕事に打ち込み、立派な肩書きとしての職業を持ちたい、そして新しい仕事では、声をかけてもらったから期待に応えたい、そんなやる気が自分の中で高まっていたのもある。
3月、年度末でとても忙しい、そんな時期だったから、先方からちゃんとした金額や時間等の雇用契約書をまだいただいていなかった。わたしもきっとあちらから今月中に言ってくるだろう、なんて思いつつ、その日も引継ぎの仕事を覚えるために、事務所に行った。
そしてあれ?と思ったのは、3月末で辞めるというのがBさんだけでなく、もうひとりAさんもいたのだ。その日はAさんが隣で忙しそうにデスクワークしながら、わたしにも丁寧に仕事を教えてくれていた。わたしが引き継ぐ仕事は、AさんBさんがふたりでやっていたこと。それをひとりで引き継ぐというのもその時知った。
そこに、社長と一緒に打合せ先から帰社した右腕パートナーが、Aさんに向かって「隣の部屋で社長を打合せしてるから、キャサリンさんにコーヒーの淹れ方教えて、持ってきてもらって」と言ったのだ。
「キャサリンさん、ネスプレッソマシーンの使いかた教えても良いですか?コーヒー淹れてって今言われたから」
私は、一瞬たじろいだ。
「コーヒーいれて」って・・・あたしが??
今、私たちはいまデスクワークしているわけですよ、Aさんは見積書作成とかね、図面の作成とかね、忙しそうなわけ。そこに帰ってきたら自分たちの打合せするからコーヒー持ってきて、ですか・・・
わたし、事務員?庶務?としてここに仕事しに来ているわけじゃないと思うんだけど、
コーヒー淹れてってなんだろ??イヤってことではないんだけど、自分で淹れないのかしら?
率直に疑問に思った。
だから、わたしはAさんに「いま、Aさん図面の直しとか見積書作成とか忙しく仕事してたのに、コーヒー淹れてってあの人に言われてすぐに動くんですね、すごいですね、ちょっとわたし、”コーヒー淹れて”って言われるシチュエーションに慣れていなくて驚いてます」と声に出して言ってしまったわ。
社員さんは、「あ、そうですかぁ・・・うちの事務所だとこういう風に言われるのが普通なので・・・」
とため息交じりに逆に驚いている。でも、たしか、彼女は8年続けてきたけれど、一身上の都合でこの度転職されるのよね。
「コーヒー淹れて」って上から目線で言ってきた右腕オンナ(悪い人ではないけれど、頼み方が雑なのは損です。)となんだか犬猿の仲だとかどうとか、と言うのも冗談交じりで聞いてたけど、こういうのも積もり積もっているのかも??
ってことは、彼女が辞めてわたしが、事務所に仕事しに来たあかつきには、「コーヒーいれて」が日常になるのかしら。
で、いろんなことがモヤモヤするので、ちょっと関われる仕事かどうか精査したり納得がいくまで説明してほしい、いくらの契約なのかはっきり話し合いたいです。だって、このお仕事は、最低賃金の時給なんかではやれないですよ、なんてモノ申してたら、社長から数日後LINEがきて「申し訳ないですが、あなたの素晴らしいキャリアのお役に立てるのは弊社ではないという思いに至り、契約は白紙にさせていただきたい」とお断りをされた。
へこんだわ。決まらなくてよかったとも思うけれど、数日たってもしこりは残っている。正論をいったばかりに、契約白紙ですから(苦笑)。
もしかしたらわたしは、あのオンナの人に「社長とわたしにコーヒー淹れてきて」っていうのが、やっぱりイヤだろうな、と。もし、あのまま引継ぎが終わり本腰入れて、入社したら続かなかっただろう、しかも、辞めれなくなっていたかもしれないから、始まる前に決まらなくてよかったんだよ、と友人からも慰められた。
「コーヒーいれて」って言われて、受け入れられないのは、わたしの考えが変なのか??それもずっとひっかかっていて、親しい人に会うたびに、これって私が変なのかな?と相談する。
今のところ、4人のちゃんとした社会人の人たちに「いや、キャサリンの言うことは全うだと思う。」「コーヒーを淹れてあげるなんて時代遅れも良いところだし、そういう風にみられる仕事だとしたら、あなたがやるような仕事ではない」と口をそろえ、肯定してくれる。
コーヒーくらい入れてやってもいいんだけど、なぜひっかかるのか・・・
きっと、わたしのように女性のことを安い賃金で、なんならボランティアでお茶を淹れてくれるものだ、と思われたくないという信念がどこかにあるのかもしれない。