40代のまだ色気が残っているうちに(?)着物を着てお出かけできるようになりたい、と思い始め、着付けを習って1年。
今年に入ってからは、2月に1度着て、今月も着る機会をいただけた。
久しぶりに再会する友人から、「東京タワーのてっぺんまで高いところにのぼってみたいから一緒にいきませんか」と声をかけてもらったのだ。友人にも着物を着る練習をしている、というのは兼ねてより話していたので、今度着物着てきてよ、と言われてたな。期待してくれている?と勝手に予想し、よしっ、東京タワーに行くなら、着物で行ってみようと。
今は亡き祖母が気に入って買っていた大島紬。見た目は地味だけれど、着物を知る人が口々に「大島はいいわよ、大島はとても高価で貴重なのよ」と言うので、それなら私が袖を通してあげないと!ともっぱら、遊びのお出かけには、大島紬を着れるようになりたいとそればかり着ている。
大島って、100万くらいはするんだとか?祖母の後に母が和ダンスにしまっていたけれど、あまり着ているところを見た事はない、もったいない。
11時半に待ち合わせをして、着付けは子ども達が朝登校した8時過ぎから。着物を着るなら、まとめ髪をしたい、というのも私の中で決めていたことなので、まずヘアセットに30分ほど手間取る。
9時から着物を着始めて、1時間。前回は本当に帯で苦戦したけれど、なんとか今回は前回よりは見繕えた。
10時過ぎの電車に乗り、待ち合わせ時間ぴったりに大江戸線の赤羽橋駅に到着した。

東京に住んでいるのに、東京タワーにくるのは、おそらく夫と付き合い始めたころの20代以来。18年ぶりほど。この日はまた晴れて小春日和。

年上の友人(60代)が「可愛い可愛い」と褒めてくれるので、調子にのってこんなポーズで写真を撮ってみたり。

東京タワーのトップデッキは本当に高い!そちらにはミラーがたくさん。自分の着付けの全身がどうなっているか気になり、自撮りしてみた。
この大島は、ウサギの絵柄がちりばめてあるけれど、やはり色はとても地味。だから、白くてポイント柄が映える帯と春らしい桃色系の帯締めと帯揚げにしてみた。
長襦袢は私のサイズで見繕っていたので、大島より実は袖が長い。なので、中で安全ピンでまくって調整している。さらに、身幅の大きなこの大島の着付けは、上半身にしわが寄りやすく難しい。なんとか、身幅が大きい着物を着るコツを何度も予習して、うまい具合に調整して、今回はまぁまぁうまく着れたと自分なりには思った。
背筋や歩き方の所作にも意識が向くので、着物を着るとしゃきっとする。

自分なりには、ウエストがきついことはきついけれど、満たされた気持ちで一日を過ごせた。
外国人観光客がたくさんいたけれど、あれ?こんなJapanese着物美人がいるのに、写真撮らせてくださいって誰からも声かけられなかったな・・・なんでだろう、なんて思いつつ・・・(笑)
帰り道、自宅近くの駅前で、よぼよぼの杖をついたおじいさんがわたしを見て
「おっ、かっこいいよっ」と褒めてくれ、駅前のお花屋さんで花を買ったら。お店の方も着物を見て「これは・・・大島紬ですか!?良いですね!」と言ってもらえて、るんるん。
そして住宅街を歩いていたら、軒先でつっかけを履いて植木の世話をしていた小柄なおばさんがわたしを見て「あら!ちょっと、いいわね、見せて」と両手を叩いて嬉しそうに話しかけてくれた。
「自分で着付けたの?上手に着れている」と褒めてくれつつも「でもね、うん、衣紋が抜けていないわ、これだとせっかくの着物姿がもったいない。あとね、帯揚げはね、結び方教えてあげる」と帯揚げをほどいてこうしてこうして、と教え始めた。
聞くと、ここらの近所の人たちの冠婚葬祭のときの着付けをいつも頼まれていた、着付けの先生だったのだ。「わたしはそこの先のね、●●大学野球部のエースだった●●さんってところのね、長男が結婚式するって時も仲人頼まれてね、それでお母さんの留め袖を着つけてあげたりね、結婚式場とか冠婚葬祭での着付けもずーっとやってきたからね」と今は、引退されて、アパートの大家さんをやっているのかしら?という感じ。
そんなお話もしながら、わたしも「身幅が大きい着物だから、上半身が着崩れちゃうのが悩みで・・・どうしたらいいですか?」と相談。「あ、これはね、人差し指を帯にいれてしゅっとね、こうやっておへその方から外に向けて伸ばすの、そう、これでしゅっとなるでしょ」
と教えてくれて・・・そうでしたそうでした、人差し指を入れてしゅって忘れてたわ・・・!
若めのわたしのような人が着物着ているのを、喜んでくれて、その笑顔見たら、やっぱりまた着物がんばって着ようって思った。
そして、母にもLINEで写真送ったら「だんだん着付け上手になってきたね!5月までが合わせを着れる時期だからいっぱい着てね」と返信が来た。
着付けは難しいし、大変だし、一人で着れないよ、なんて思いこんで生きてきたけれど、なんでもチャレンジしてみるものね。粋な気分になれて、良いものですわ。わたしは着物も着る日本人なのだ、誇るべきよ。もっときれいに着物が着れたらもっと自信もつくでしょう。