英語がスラスラ読めるようになりたい、ペラペラしゃべれるようになりたい、字幕なしで洋画を観れるようになりたい・・・その思いは多くの日本人が持っていると思うが、わたしもその中の一人。
実のところ、わたしは、0歳でアメリカのミシガン州に父親の仕事で渡米し幼少期の三年間を過ごした元バイリンガル。そう、”元”とつけているので過去形なのだが、どういうことかと言うと、4歳で日本に帰国後、1か月間ショックで言葉をしゃべらず、その後日本語だけを話すようになり、あっという間に英語は忘れてしまったのだ。英語は中学生になってから学校の授業でゼロからやり直し。
ただ、海外への興味関心、異文化の人と友達になることへの好奇心が強く、英語が好きだったので、自分から一生懸命勉強して、高校ではアメリカへホームステイ、大学では北欧へ留学し留学生向けの英語での授業をとっていたので、月並みの英語力を身に着け大人になった。
しかし、社会に出てから現実には英語には挫折した。英語は得意だと思っていたことに対しての挫折だった。
20代で海外のアーティストと関われる音楽関係の会社に入社したことがあった。なんと、オフィスは当時話題も話題になっていた六本木ヒルズだったのだが・・・これほんとの話。それはさておき、その仕事に就いたとき、同僚には帰国子女がたくさんいて、彼女たちは、デスクに向かいながら、英語のスラングで独り言を叫んだりしながら、アーティストの通訳も率なくこなし、海外出張なんかもしょっちゅう。そんな彼女たちの隣で、わたしはオフィスで留守番。仕事も全然うまくできず、英語への苦手意識も強くなり、こんなにたくさん英語を勉強してきたけれど、リアルな帰国子女なんかがいたら、とても叶わないわ、身も心もポキッと折れたのだった。
それから、転職なんかもしつつ、妊娠と同時に寿退社し専業主婦になり、英語を使う機会などなくなってしまった。そんななかで、わたしは留学までして習得したはずの英語をどう自分に生かしていきたいのか、と考えた。もったいないじゃないって。
英語で何がしたい?そう自問した時に、大好きな海外文学作品はできる限り原書で読めるようになりたい、ということが浮かんできた。
英語で書かれている本は、日本語で訳すとどうも感じが変わってしまうことが多くて、なんだかしっくりこない、と感じることが結構あったので、それなら英語の原作のまま読めたらその違和感はないのかもしれない、と手に取ってみると、やっぱりビンゴ。
しかし、なかには、日本人にはとても難しい表現の文体の作家もいるので、読みやすい英語の小説というものを選ぶようになってきた。
その中のひとりの作家が、Debbie Macomber(デビー・マッコマ―)。
アメリカの人気ロマンス小説家で、全米では大御所ベストセラー作家だ。この小説家のことを教えてくれたのは、15年前の初めてのマタニティのときに仲良くなったママ友。子育て中に英語学習を究めてTOEIC920点、英検準1級取得し英語教室を主宰しているスゴイ方。お互いに英語と本が好きというので気が合って、”Bookmate”として読み終えたおススメの洋書を送り合ったりしている私にとって貴重な友人だ。
デビー・マッコマ―は日本ではハーレークイーン的なべたなロマンス小説の分類の作家とくくられていて、和訳になっている本はほんの少し。
彼女の多くの作品は邦訳されていないので、読むなら原書で読むしかない。
本当に標準的な英語で書かれているので、読みやすいし、ストーリーもわかりやすく、女性なんかには親近感を感じる作品が多いのですでに5作ほど読んでいてお気に入りの作家のひとりだ。新宿紀伊國屋書店なんかに行くと、洋書コーナーでマッコマ―の作品が置いてあったりするのでぜひ見てみてほしい。
そんななか、先日デビー・マッコマ―の洋書の中でも最もボリュームのある作品で、これを読み終えるのに一度挫折し、今年に入って再チャレンジして、2年越しで完読した作品がある。
『Between FRIENDS』という小説。

この作品は、二言でいうと、日記・文通文学でありBFF(Best Friends Forever)友情物語。
主人公JullianとLesleyはともに1948年に生まれた幼馴染。Jullianは裕福な家庭に生まれた才女で、Lesleyは貧しく不安定な家庭に生まれ、二人は生まれも境遇も対照的だが、一生涯の親友として共に人生を支え合っていった。
そんな彼女たちの半生が綴られた長編小説。
作者マッコマ―の文体はこれまで読んできた作品はどれも読みやすいのに、この小説だけはけっこうしんどかった・・・それはこの小説がすべて日記と手紙で綴られていたからなのだと思う。なかなかの文量(そんな長い手紙を昔はみんな書いていたんかい!?って突っ込みたくなるほど。)ですごく時間がかかってしまった。日記や手紙だと文章自体はもう英語学習者には模範的な表現ばかりなのだが、ストーリのテンポが遅くて、読み進めるには向かい風に煽られている感じで本当になかなか読んでも読んでも先が長い、という感じ。
でも、この1冊の内容は濃かった!なにせ1948年から2010年までのリアルな歴史的出来事も刻まれていて、アメリカの現代史を一通り体感できたから。日本人の私にはあまりなじみのなかったベトナム戦争やイラク戦争、さらにまったく知らなかった2010年のワシントン州にあるセント・へレンズ山の噴火という災害。そういった歴史も織り込まれたストーリーで教養が深まった。
人生って本当色々あるんだね・・・何か困難があったとしても、どこかのタイミングで道は開かれるし、寄り添ってくれる友が、生涯の友がいるというのはかけがえのない幸せなことなんだな・・・と素敵な二人の友情に思いを馳せた。
わたしの英語の感覚もブラッシュアップ!やっぱり原書を一冊読み切った達成感は最高!
この調子で、あまり間をあけずに、また英語の小説を読もう!
ちなみに・・・
最終目標は、大学生の頃留学先のヨーロッパで買ったまま、読めていない文豪ヘンリー・ジェイムズの『What Maisie Knew』を読破すること。できれば・・・40代のうちに叶えたい。