オーバーツーリズム問題を探る

今日は、社会的テーマを取り上げたい。

先日7月1日のこと、テレビをつけていたら日本テレビの「カズレーザーと学ぶ。」が放送されていて、今社会問題になっていることを改善するために、ゲストの芸能人から新法案の提案がだされ、それについて議論を展開する、という教養バラエティ。とても面白かった。

そのテーマというのがコロナが明けてから、外国人観光客が激増している日本。オーバーツーリズムが問題になっているのはよく耳にすること。そこで、タレントの長嶋一茂さんが、その対策として”外国人観光客に別料金で、観光料がかかる法案を提案したい”と投げかけた。

ほぉ、そうよね、日本の文化財、世界遺産を守るのに多額の税金が使われているわけだから、そこに大勢の観光客が詰めかけて、交通渋滞による環境汚染や人件費、全体的なインフラを整えたり、清掃代などなど経費がかさんでいるのもたしか。外からやってきてマナーもよくわからない観光客が景観を損なうようなことをするなら、高く払っても観光したい、という方に搾って来てもらうことで、幾分観光客の数を制限できるのではないか、ということだろう。

しかし、そこで、社会学者でコメンテーターの古市憲寿さんが、「僕は反対ですね」と意義を唱えた。

”そもそも、それって外国人観光客のせいではなく、観光客数が多すぎることが問題なので、外国人が悪いわけではない”

と。わたしも社会学をかじってきた身として、古市氏は個人的にいけ好かないところもある(以前、「君たちはどう生きるか」の本を読んでいないのに、朝日新聞にこの本が売れ行き好調なのはなぜかというインタビューに答えていたことに未だにイラついている(苦笑))

しかし、この主張には”ほぉー、言われてみれば、そうとおりじゃん!”って、納得した。

それって、日本が外国人観光客がたくさん来れるように飛行機の便も増やしてきてるからだよね、自業自得だよね・・・

ここで、その裏付けデータをお伝えする。

2025年1月27日付 朝日新聞朝刊に

時時刻刻)成田、「第2の開港」への道 滑走路新設へ 発着年間50万回目標

という記事が出た。それによると、

”成田空港(千葉県)の年間発着枠の上限が10月に30万回から34万回に引き上げられる。訪日外国人など増加する航空需要の取り込みに向け、2029年には3本目の滑走路を新設し、将来的には年間50万回を目指す。” とある。

今現在での発着便数は、26.4万回、2026年には30万回になる見込みでこの上限を34万回まで引き上げようとしている。需要があるから、ということだ。

そして、わたしは、この記事の中で千葉県知事が「アジアの空港競争に打ち勝つために、周辺地域の発展のためにも必要不可欠だ」と発言したことが引っかかった。

香港、台湾などに発着便数が負けているから打ち勝ちたい、というのはなんとも短絡的発想だ。管制官としての経験が長い方は「成田空港の誘導路は日本一複雑だと呼ばれている」と言う。実際、昨年1月に羽田空港で起きた海保機と旅客機の衝突事故からも、管制官の管制官の労働環境の悪化で人的ミスが起きているのもとても懸念されている。

そこに加えてのオーバーツーリズムでの社会問題が起きているのも、飛行機の便数が増えて、日本に入ってこられる人の数が増えすぎているから。

そう思うと、外国人観光客に別料金で観光料金を徴収するというのではなくそもそも、多すぎる人が入ってこれるようにしている日本側の設計ミスの問題なのだ。

さすが、気鋭の社会学者、良いこというじゃない、これこそ社会学が成せる発想。

何事もね、バランスが大事だし、無駄な競争をしないで、いかに人々が安全で平和に暮らせるかを優先するべき。わたしはそう思う。

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