環境問題に関心の高い友人が、今月、マクドナルドのポケモンのハッピーセットにモラルのない客達が殺到し、ポケモンカードの転売目的で買い占め、そしてハンバーガーやポテトなどを路上に大量に捨てるという酷い事態が起きた事をニュースで知って憤慨していた。
ハッピーセットは、もともとは子ども向けに、マクドナルドのハンバーガーを買って食べる楽しみを持ってもらおう、というのが趣旨だったはず。子どもの頃に、おもちゃもらえる!しかもハンバーガーもポテトもおいしい、また連れて行って!なんていう感じのワクワクした経験から大人になってもずっとファン層として取り込もうというマーケティング戦略なわけですが・・・
たしかに、今回のポケモンのハッピーセットはどうやらオトナが金儲けのために、こぞってたかったようだ。お子様連れのお客様限定、さらにイートイン限定にすればよかったのに。ちなみに、この騒動は、どうやら隣国からきている人達によるマナー違反というのも聞かれるが、日本人のオトナも少なからず同じようなマナー違反をしていただろうから国籍は関係ない。
友人は、「わたし、このポケモンハッピーセット騒動はこの夏一番腹が立ったことだと思うの。ほんとにマックには失望した!!確かに、今までは世界どこ行っても言葉が通じなくても”チーズバーガーアンドポテトプリーズ”って言ったら、同じ味のものを食べれてほっとしたこともあったし、子供たちも喜ぶし、環境的なことで思うところはありつつも支持していたけど、もうマックには行かない!」と鼻息荒くしてた。
さらに彼女の夫は床にハッピーセットの食品がポイ捨てされている映像をテレビで一緒に見て「バカを生み出す、バカ会社だ」と言い放ったそう。
そうね、ポケモンの付録なんか出さなければ、こんな食べ物を粗末にするような行動をこの一般庶民の消費者達はしなかったわけだから、こういう事態を生み出したのはマクドナルドという会社がきっかけを作ってしまったのはたしか。
この話を聞いて、わたしは数年前まで働いていた食品メーカーでのことを思い出してしまった。もう穴があったら入りたいくらいの苦い思い出の一つ。
わたしは、その会社の国産のカリカリ梅の美味しさに惚れ込んで入社。同世代の女性社長と輸出事業に力を入れていて、ふたりでカリカリ梅を世界に!と意気込んでいた。
ある日の会議でのこと。香港の大きな食品展示会に出展して販路を広げたい、という社長は、「香港の人の味覚って、甘いものが好きらしいの。だから、弊社の定番のカリカリ梅じゃなくて、とても甘いカリカリ梅を作ってそれをカリカリ梅として売り出したいからその商品開発をしよう」と言った。わたしは、それを聞いて、「いやいや、日本人にとってカリカリ梅は、あのすっぱい味だからこそカリカリ梅という認識があるし、酸っぱくない甘いカリカリ梅なんかカリカリ梅の概念を逸脱すると思う」と意見を述べた。
ここの定番のカリカリ梅が美味しいから、これを世界に届けたい、そう思っていたわたしは、社長が外国に媚びて、新たに商品開発の投資をして味を変えてまでして日本の梅を売ろうとしていることに、即座に反論。そしてわたしは社長にこう言ったのだ。
「そこまでして売りたいんですか?」
けっこう、直球に生意気に言ったと記憶している。現に、その場の空気は凍り付いた。会長も同席して”入ったばかりの平社員のお前が、創業家の経営者に向かって何を言っているんだ”と言わんばかりに、眉間にしわが寄っていたのも記憶にある。
そして、社長は少しの間をおいて、「はい、売りたいです」と真顔で返事をした。
ひゃー、なんて空気だったか・・・
まぁ、社長からしたら、これからは海外市場の方が伸びるだろうから、味を変えてまで、売れるなら売りたい、海外進出は夢だったし。と、そういうことだ。それは、ビジネスなら正論でもある。
マクドナルドのハッピーセットとて、すぐに捨てられるようなおもちゃを経費をかけてまで作っても顧客を取り込みたいから「売りたいです」ってことなのだろう。
そして、さらにはポケモングッズのこの一騒動で、「バカな人間を生み出すバカ会社」と言われようが、「お客様に喜んでいただくために、たくさんの方に手に取っていただけるような対策をして、改善して販売してまいりたい」と率なく返すだろう。
あの騒動の直後、マクドナルドはチキンナゲットの割引と限定ソースのキャンペーン、さらにポテトのお買い得キャンペーンを持ってきて、どうにか好感度を持ちなおそうとしているように見えたが、次の企画として予定していたワンピースのカードゲームが付録のハッピーセットは、販売を見送るすることにしたみたい。