美術館で鳥を愛でる

暑すぎる今年の夏。7月なのにさっそくの酷暑。そんな中、母と娘を連れて越後湯沢のリゾートホテルに避暑の一泊旅へ。

所沢に住む母と池袋駅で待ち合わせし、湘南新宿ラインのグリーン車に乗り、高崎駅まで快適な旅路。高崎駅は旅の中継地点だった。本当は、前橋に住む義母と合流し、娘にとってはダブルおばあちゃん揃って高崎駅にある水沢うどんのお店でランチをする予定になっていた。そして、高崎駅から上越新幹線で2駅30分で越後湯沢へ。

しかしながら、酷暑で有名な群馬。義母は、猛烈な暑さにすでにバテて体調を崩してしまい、外出が難しくなりランチはキャンセル。

すでに高崎駅から越後湯沢までの新幹線のチケットはとってあったので、母娘三世代のおんな旅は決行。高崎駅には当初の予定通り、降り立つことにした。昼に到着し、時間はたっぷりある。

せっかく高崎に降り立ったのだから、なにか観光したいけれどこの暑さなので・・・と思いついたのは、駅前にあるふたつの美術館。高崎市が経営しているようだ。

事前に調べてみたら、東口にある高崎市タワー美術館では7月11日より9月下旬まで、日本画の鳥の作品の企画展があるとのこと。しかも、その名も”鳥を愛でたい”。なんて素敵なタイトルでしょう!

正直なところ、美術館は万人が楽しい、好き!っていうものではないので、中学生の娘や歳で疲れやすい母はわたしの提案にのってくれるか微妙だなと思っていたが、母が「あら、鳥の日本画良いんじゃない?見てみたいわね、行こう♪」と言ってくれて、娘も「ママとグランマが行きたいなら良いよ」とめずらしく素直(笑)。

「ちょっと時間つぶしでお昼ごはんの前に行こうか」と100メートルほどだろうか、駅前の連絡通路(そこだけはサウナのような異次元の暑さだったが)を歩いていくと、すぐに美術館到着。

なんと、インターネットで事前に調べてくると、500円→400円に割引。400円という安さにも驚くが、65歳以上、中学生以下は無料で鑑賞できる。

猛暑日の平日の真昼間にこんなところに出かける人もいないのだろう、私たち3人しかいない展示室を見てゆくと・・・まず、はっとするような青色の空に二羽のタンチョウが海岸を雄大に飛んでいる松尾敏男の作品『潮音』が目に飛び込んできた。

日本画といえば、鶴よねぇ・・・ほかにも鶴の群れが優雅に飛び立っている絵画など、鶴=タンチョウのきれいな作品がいくつかあった。

さて、この企画展では、小中学生用に鳥の生態などのクイズを応えていくチャレンジシートにも取り組め、おとなも一緒に鳥の豆知識を学べる。ケリという名前の鳥がいて、その名前の由来は、「ケリッ」という鳴くことからきているとのこと。へぇ、こんなかわいい鳥がいるのね・・・

155センチ×360センチの大きな金屏風に描かれたウズラの絵画は菱田春草作。なんと1828年に制作されたというのだから298年前の作品。

カワセミは”空飛ぶ宝石”と呼ばれているという豆知識を得ながら、どの鳥も美しい・・・

特に栗原幸彦の『閑日』も180センチ×369センチの大きな絵画。クジャクのつがいはもちろん、木の枝に留まる白孔雀が本当に美しくて、さらのその大きさも圧巻。

栗原幸彦≪閑日≫。作者はクジャクが好きでずっと飼っていたそうだ。

3階のフロアも見ごたえたっぷりだが、一階下にさがった2階にも広々とした展示室。母は、後藤順一のコクチョウの作品を見入っていた。娘にとっては、白鳥は知っていたけれど黒鳥もいるんだね、と初めて知ったようだ。たしかに・・・黒鳥って見聞きする機会がほとんどないものね。

娘は、牧 進の『爽春』に描かれている黄色のチューリップの花束が入った篭に止まる文鳥の作品が好きって教えにきてくれた。

どの作品も背景がシンプルなのに、その色合いがとても味わい深く落ち着くところや、木や花、海と鳥という組み合わせに季節感を存分に描き、観る人にもその肌感覚が伝わってくるところ。

最後は、ミュージアムショップで鳥の金細工の美しい栞を3人でこれもいいわね、迷うとあれこれ選んでいたら、1時間半ほども滞在してしていたことに!30分程度のつもりだったのにね(笑)

とても精巧な作りの栞。どれも美しくて感動もの。

思いがけず、目と心の保養となったこの美術館鑑賞は素晴らしい旅の思い出の一つとなった。

母からも「あ~、楽しかった!」と朗らかな声で喜んでもらえたのも何より。