あんなつまんない曲!?

今、練習しているピアノ曲はパデレフスキのメヌエット Op.14-1。

この曲は、ある日のこと。愛犬を動物病院に連れて行ったときに待合室で流れていたBGMで、印象的だったのと、クラシックをけっこう聴いてきたはずのわたしでも知らなかったというのもあり、調べてみて、わたしにも弾けそうだ、と思って有料の楽譜サイトからダウンロードして、自分で印刷して、楽しくちょっとずつ弾いている。

ところが、この話をわたしのピアノの師匠とその音楽仲間のおじさま方とワインを飲みながら会食をしていた時にしたら、師匠が「あなたがそう言うから、パデレフスキ―のそれ聴いたけど、あんなつまんない曲はないわ、って思った」と言いだしたから驚いた。

印象的なメロディ、すっと耳に入ってくる心地よいテンポ、しかも19世紀終わりから20世紀初頭に活躍したポーランドの作曲家でありピアニストであり、首相まで務めた政治家でもあったという有名人。そんな大物を知らなかったということに、私自身驚いていたからこそ、楽譜を手に取って、素敵なピアノ曲に出会えた喜びを感じていたのによ、あんなつまんないって?

そんなことをいうものだから、わたしは「そんなことを言ったら、バッハの曲だって自分の練習に弾く分にはいいかもしれないけれど、リサイタルとか人前で弾くには聴いていて地味でつまんないって思う曲がたくさんあるじゃないですか」と言い返した。

するとそれを聞いて、目の前に座っていたふくよかな中年のフルート吹きのおじさまが「おーとっとっと・・・何をおっしゃいますか!」とむきになっている。「あのバッハ大先生の曲をつまんないだなんて・・・とんでもない」と。

だって本当のことじゃん。もちろん、インヴェンションとか、わたしだって好きな曲はある。けれど、パデレフスキの曲が、「あんなつまんない曲」って切り捨てられるなんて、わたしの耳とセンスを否定されているようで悔しい。

師匠は「だってさ、やっぱりさ、知られていない作曲家ってことはそう言うことだと思うのよ」という。そう言われちゃえば、知られていないということは、プロのピアニストがリサイタルで選ばないような、映えない曲だということなのかもしれない。

そういわれればそうとも思えてくるが、やっぱり、パデレフスキのメヌエットは素敵な曲だと思う。そう思いながらわたしは、どう言われようと6ページ最後まで弾けるように練習したい。

そして後日、師匠とふたりで飲みに行ったときに彼女は、

「あんなつまんない曲だなんて言って、あの後反省したの」

と言ってきた。「人にはそれぞれ好みがあるのに、あんな言い方して良くなかったなぁって」

そっか、好みって本当に人それぞれなんだものね。

ちなみに、師匠もわたしも、リストとかショパンの激しい曲はあまり好きではない。

どうにも、”見て、聞いて、すごい曲でしょ~”って主張が強い感じがするから、ピアノ上手アピールの曲に思えてくる時があるのだ。その話で私たちは、共感しあう。

師匠が一番好きな作曲家は、シューベルトだそうだ。わたしは、一番好きなのは誰だろう・・・チャイコフスキーかな・・・いや、ベートーヴェンも好き。あ、ラモーかもしれない。